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はじめに
日本における身体障害者手帳交付者は,昭和62年3月31日現在では全人口121,672,326人(昭和61年10月現在の人口)に対して3,004,780人(昭和62年3月31日現在の数)であり,2.49%(3,004,780人/121,672,326人×100)を占めている.一方,高知県においては,平成元年3月31日現在の調査では,総人口831,972人(平成元年4月1日現在)に対して,身体障害者手帳交付者数は31,775人で,県総人口の3.82%(31,775人/831,972人×100)を占める.すなわち,高知県における身体障害者数の全人口に対する割合は全国平均より1.5倍(3.82%/2.49%=1.53)も高い.この高知県における身体障害者手帳交付者の障害区分では,肢体不自由が18,873人いて,約6割(18,873人/31,775人×100=59.4%)を占める.児(18歳以下)と者(18歳以上)の年齢区分では,前者(児)が2%と低く,後者(者)が残り98%を占めている1).これは高知県の老齢人口比は全国でも1,2位を競うぐらい高いことと関連していて,この老人の身体障害者,特に肢体不自由で身体障害者手帳が交付されている者が非常に多くを占めていることによる.
表1は高知県の市町村別で示された身体障害者手帳保有者数を示すが,この中で肢体不自由による身体障害者(児)のうち,障害名で「脳性(小児)麻痺による……」とはっきり記されている者は932人であり,これは身体障害者手帳を持っている肢体不自由者(児)18,873人中の4.9%(932人/18,873人×100)に当たる.この脳性麻痺による身体障害者932人のすべてを個別に調査することは,患者のプライバシー保持の行政上の規制もあってできなかったが,高知県の市町村別で示された身体障害者(児)数(表1の①),その中の肢体不自由者(児)数(表1の②),またその中の脳性麻痺者(児)数(表1の③)を示す表1の中から,サンプル的に2つの福祉事務所に依頼して,その所轄の16町村における40歳以上(生年月日が昭和24年より以前)の者の名簿を作成してもらい(表1の④),アンケート調査を行い,演繹的な類推を試みた.しかし,後述するごとく,身体障害者手帳の診断名の不正確さと,それを診察して確認することが不可能であることが多いため,それを補足する意味で,筆者らが把握している40歳以上の脳性麻痺者について2,3),平成2年4月現在の再調査を主に電話の聴き取り(本人,家族,地元役場など)で行った.そして最後に,障害の重い脳性麻痺者の多くが入所していると思われる高知県下の(重度)身体障害者療護施設(4か所)と重症心身障害児施設(2か所)における40歳以上の脳性麻痺者について調査した.
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