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はじめに
脳卒中片麻痺の理学療法において,長下肢装具(以下,KAFO)を活用した装具療法は,臨床場面でどのような「役割」ができるのだろうか?
「脳卒中ガイドライン2009」の歩行障害に対するリハビリテーション(以下,リハ)では,下肢練習量を多くすることや,装具を用いることが歩行改善のために推奨されているが1),早期からの具体的な使用方法が示されているわけではない.特にKAFOは,何の目的で,どのように活用していくのかは状況に応じた検討が必要である.
重症片麻痺患者に対し早期からの理学療法でKAFOを活用することは,適切な身体のアライメント調整を行い,安定性を補償したうえで下肢練習量を増やすことや重力位への介入が行いやすくなることを臨床的に経験する.病棟の生活動作においてKAFOを活用することは難しく実用的でないが,裸足での移乗や移動動作では不安定な場合もあり,短下肢装具の使用が実用的である.理学療法士(以下,PT)は歩行改善と同時に,病棟での移乗や移動動作の改善を視野に入れた装具の工夫を考える必要がある.
筆者らの回復期リハ病棟では,重症片麻痺患者に対し,簡単にKAFOと両側金属支柱付短下肢装具(以下,支柱付AFO)とに切り替えることが可能である大腿部脱着式KAFO(以下,脱着式KAFO)を作製し,運動や生活・活動場面に応じて使い分けを行う早期からの装具療法を導入している.歩行獲得をゴールにできない患者でも,脱着式KAFOを目的に応じて使い分けることで,介助量の軽減や日常生活動作(ADL)の向上が図れると考えている.
今回,脱着式KAFOによる脳卒中片麻痺の運動療法の取り組みを,これまでの活用経験と当院のデータを交えて紹介する.
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