特集 脳卒中片麻痺患者の装具と運動療法
Gait Solution付短下肢装具による脳卒中片麻痺の運動療法とその効果
大畑 光司
1
Koji Ohata
1
1京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻リハビリテーション科学コース
pp.217-224
発行日 2011年3月15日
Published Date 2011/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101895
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はじめに
脳損傷後片麻痺患者における歩行機能の改善は,リハビリテーションの重要な目標のひとつである.しかし,歩行機能をどの側面から捉えるかにより,改善すべき内容は異なってくる.例えば,脳卒中後の片麻痺患者の歩行は,歩行速度低下を始めとして,歩行の耐久性の低下,安定性の欠如などの様々な問題があり,その背景には非対称な歩行様式1,2)やそれに伴う歩行のエネルギーコストの増加が存在する3,4).また,これらの歩行の諸問題には,筋力低下5),筋の硬さ(stiffness)の増加6)および過剰な同時収縮7)など,多くの問題が関連するとされる.したがって,どの運動障害の構成要素に重点を置くかによって,トレーニングの内容は大きく変化することになる.本稿では,まず,歩行の力学的なパラダイムである「倒立振子モデル」について再考し,脳損傷後片麻痺患者の歩行の問題点とこの「倒立振子」の関係について議論する.次にGait Solutionを使うことによって得られる利点についてのわれわれの研究を紹介し,Gait SolutionがしていることとGait Solutionを効果的に用いるためのトレーニングの考え方についての考察を行う.また,これに加えて,脳卒中片麻痺患者で認められる「遊脚振子」の問題とその原因についての仮説を提示する.
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