特集 脳卒中片麻痺患者の装具と運動療法
脳卒中片麻痺の積極的装具療法の進め方
髙木 治雄
1
Haruo Takaki
1
1医療法人慧明会貞松病院リハビリテーション科
pp.201-208
発行日 2011年3月15日
Published Date 2011/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101892
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
はじめに
長下肢装具は麻痺側下肢で身体を支持することができない時に処方され,立位や歩行を補助するものとして重要である.一方,正常な歩行パターンを獲得できない,重い,膝ロックが難しい,着脱の困難さから実用的でないという理由や身体機能の回復を阻害するという判断で処方されないことや,リハビリテーション後に残存した機能障害の代償・補助を目的とした最終手段として用いられることも多かった1~2).
近年,早期に集中したリハビリテーションが患者の回復に重要であることは周知されており,重度の脳卒中片麻痺者に長下肢装具を使用し,早期から立位,歩行練習を行うことは脳卒中ガイドライン2009でも推奨されている3).しかしその適応,使用方法など,統一・体系化された装具療法は存在しておらず,麻痺肢を含めた機能改善を目的とした報告はあまり見られない.
近年は装具の進歩により,機能の改善を目的とした本来の治療用装具としての装具の活用が可能となってきている.油圧制動足継手付き底屈制動(Gait Solution:以下,GS)長下肢装具を使用した歩行練習の実施が,健常歩行相に近似する下肢の筋活動を誘発することも報告されている4).このように,麻痺側機能の改善を目的とし,歩行補助具としての視点だけでなく運動療法の道具としての視点も重要である.
今回は,脳卒中リハビリテーションの現状における問題点と当院で実施している装具を用いた重度脳卒中片麻痺者に対する理学療法アプローチについて報告する.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.