特集 脳卒中片麻痺患者の装具と運動療法
脳卒中片麻痺に用いる装具の特徴と運動療法実施上の注意点―義肢装具士から見たポイント
山本 康一郎
1
Koichiro Yamamoto
1
1川村義肢株式会社
pp.193-199
発行日 2011年3月15日
Published Date 2011/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101890
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はじめに
脳卒中片麻痺に用いられる装具は他の装具に比べ,その選定や調整が難しい.それは片麻痺における装具の性能は,治療する理学療法士にしか引き出せないものであり,装着しただけで固定や免荷,矯正の機能を発揮する他の装具と大きく異なるからである.それだけに,処方する理学療法士の治療方針と義肢装具士の設計が一致しなければ,外観は適合していても機能的には不適合となりうる.そのため,治療方針と装具設計をすり合わせる作業が非常に重要となる.義肢装具士は理学療法士の治療方針を汲み取り,それに合わせた材料や工法,継手などの提示を行わなければならない.装具に対する機能の要求事項の明確な提示が,より良い装具設計には必要である.
脳卒中片麻痺における治療用装具に必要な機能は,床反力を装具でアライメントを調えた状態で身体に入力させ,抗重力や歩行を効率的に再学習させることができることである.
短下肢装具の継手だけでも種類が15種類以上存在し,使用材料やプラスチックのトリミングライン等の違いを含めると50種類を超える1,2).本稿では装具や継手の種類や機能の解説ではなく,運動療法に必要な装具の機能の解説に焦点を絞った.
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