特集 症例検討―脳血管障害患者を多側面から診る
脳血管障害患者に対する維持期理学療法
大久保 智明
1
,
三宮 克彦
2
,
野尻 晋一
1,2
,
中島 雪彦
2
,
坂本 佳
1
,
井上 理恵子
2
,
徳永 誠
2
,
渡邊 進
2
,
中西 亮二
2
,
山永 裕明
1,2
Tomoaki Ookubo
1
1介護老人保健施設清雅苑
2熊本機能病院総合リハビリテーション部
pp.965-972
発行日 2010年11月15日
Published Date 2010/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101796
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はじめに
当法人では,脳血管障害患者のリハビリテーション(以下,リハビリ)を経験主義でなく神経科学に基づき実施している.また神経機能回復の促進を目的とし,脳の可塑性に裏付けられたリハビリを提供している1~3).具体的には次の3つの視点を重視している.①正常運動をモデルとし,運動の再教育を実施する.運動の獲得が困難な場合,最適な代償的方法を選択する.②科学的基盤に基づき,姿勢を生活場面すべてにおいて制御する.③QOLを高めるため,個別性の高い運動や活動も積極的に行う.この視点でクリニカルパスを用い急性期,回復期,維持期につなげ在宅復帰を目指している4,5).また,脳血管障害患者はその原因となる基礎疾患を有していることが多く,リハビリを実施する際に考慮する必要がある.
そこで今回,糖尿病,肝硬変を伴う被殻出血患者の症例を神経系,骨関節系,内部障害系の視点で評価し,脳血管障害患者に対する維持期のリハビリについて多側面から検討したので報告する.
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