特集 症例検討―脳血管障害患者を多側面から診る
変形性膝関節症を合併した脳血管障害患者に対する理学療法
國分 実伸
1
,
谷野 元一
1
,
中根 純一
1
,
鈴木 享
1
,
園田 茂
1
Minobu Kokubu
1
1藤田保健衛生大学七栗サナトリウム
pp.973-979
発行日 2010年11月15日
Published Date 2010/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101797
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はじめに
脳血管障害患者はさまざまな機能障害を有することにより,日常生活活動(activities of daily living:ADL)障害を来す.また変形性関節症(osteoarthritis:OA)は,荷重時の関節痛を主な症状とする関節軟骨を中心とした退行性変性疾患であり,X線写真では関節裂隙の狭小化や骨硬化,骨棘形成を特徴とする.変形性膝関節症(膝OA)では膝関節で変性が生じた結果,関節症状を呈するものである.膝OAは,単独でも歩行障害やADL障害を起こす.膝OAの有病率は40歳以上で男性42.6%,女性62.4%と推定されており1),頻繁に遭遇する疾患である.
膝OAを呈している患者が脳血管障害を発症する場合,通常の脳血管障害に対するリハビリテーションで片麻痺などの機能障害が改善しても膝OAが阻害因子となり,獲得できる能力が低くなることがある.
本稿では,膝OAを呈していた者が脳血管障害を発症した場合の理学療法のポイントについて症例を通して紹介する.
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