特集 脳卒中治療ガイドラインと理学療法
脳卒中治療ガイドラインと回復期・維持期の理学療法
三宮 克彦
1
,
鈴木 修一
1
,
大久保 智明
2
,
河島 英夫
3
,
野尻 晋一
4
,
渡邊 進
5
,
中西 亮二
6
,
山永 裕明
6
Sannomiya Katsuhiko
1
1熊本機能病院総合リハビリテーション部
2訪問看護ステーション清雅苑
3済生会熊本病院リハビリテーション室
4介護老人保健施設清雅苑
5熊本機能病院リハビリテーション科
6医療法人社団寿量会総合リハビリテーションセンター
pp.267-274
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100282
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はじめに
2004年3月に発刊された「脳卒中治療ガイドライン2004」(以下,ガイドライン)は,わが国独自の脳卒中に対する治療ガイドラインとして誕生した.過去約10年間の文献を脳卒中合同ガイドライン委員会が決められた基準で評価し,脳卒中一般に関する管理,病態別に脳梗塞,脳出血,クモ膜下出血の対する治療,そしてリハビリテーション(以下,リハ)治療にわけて論じている.全編約230ページのうち,リハに割かれたページ数は48ページにのぼり,理学療法分野においても治療の考え方をニュートラルな視点で捉えるには有用である.筆者に与えられたテーマである「回復期から維持期の理学療法」については,回復期リハを「座位耐久性が高まりリハ室での運動が可能になった時期から,最大の機能回復を目指して行われ」,維持期リハは,「獲得した機能をできるだけ長期に維持するために実施するもの」として位置付け,グレードBとして推奨している1).回復期リハは,専門的なリハ医療機能を有する医療施設で行われることが多い.また,維持期リハは,介護老人保健施設で行われる在宅復帰のためのリハ,在宅生活を支える通所リハ・訪問リハから終末期まで,利用者の状況に応じて多様なリハの関わり方がある.
本稿では脳卒中に関して①地域完結型診療体制と急性期・回復期・維持期の連携,②当院回復期リハ病棟の現状,③当法人訪問リハの現状,④当院でリハ施行後訪問リハまで関わった1ケースを紹介しながら,ガイドラインの妥当性と課題について考える.
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