臨床実習サブノート 臨床実習に不可欠な基本的技能・4
運動療法の組み立て方(3)回復期脳卒中―廃用症候群が顕著な場合
丹羽 義明
1
Yoshiaki Niwa
1
1九州労災病院リハビリテーション科
pp.623-629
発行日 2010年7月15日
Published Date 2010/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101714
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はじめに
脳卒中は脳内の血管障害によって生じる中枢神経系の障害により様々な病態を呈する疾患であるが,同時に循環調節系,運動器系の要素を含む疾患でもある.脳卒中発症後の回復過程において何らかの原因で低活動・臥床が強いられた状態が長期間に及ぶと,中枢神経系機能の回復低下が生じるだけでなく,循環調節系および運動器系に対しても負の影響を及ぼす結果となる.
これら低活動・臥床による中枢神経系,循環調節系,骨格筋・関節などの運動器系および精神・心理面の機能低下は廃用症候群と総称され,脳卒中回復期に廃用症候群を呈した症例への介入には,それぞれの病態要素を理解することが必要となる.
近年の医療情勢の変革により,脳卒中のリハビリテーション(以下,リハ)はリスク管理下での早期離床から機能改善および廃用予防を図る急性期リハ,急性期治療後から残存する障害に対して集中的に実施される回復期リハ,介護保険サービスによって在宅や施設において提供される維持期リハなど施設での機能分担化が明確となっている.介入に際しては,回復期病棟の機能特性を視野に入れた包括的な臨床推論に基づき,どのように介入すべきなのか,あるいは介入することができるのかと方向性を模索していくことが肝要となる.
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