特集 老化による身体機能低下と理学療法
高齢者の栄養管理と理学療法
綾部 仁士
1
,
鈴木 裕也
1
,
石村 博史
2
,
海塚 安郎
3
Ayabe Hitoshi
1
1新日鐵八幡記念病院リハビリテーション部
2新日鐵八幡記念病院麻酔科
3新日鐵八幡記念病院集中治療部
pp.885-894
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101504
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はじめに
少子高齢化の進行に伴う高齢人口の増加により,理学療法対象患者における高齢者の割合は急増している.また,医療技術の進歩に伴い,重症病態や周術期の高齢者に理学療法を実施するケースも増加傾向にある.医療現場の最前線においては,高齢化による病態の複雑化が進み,これまでのような各医療職の専門思考だけでは対応できない状況が広がっている.したがって,急性期医療においては,重症病態や手術侵襲という大きなリスクをもつ高齢患者が,精神・認知機能,身体機能を十分回復させてもとの暮らしに復帰できるまでを診る,医療サービスの提供が求められている.その実現のためには,チーム医療が必要であり,そのなかであまり顧みられなかった,高齢者の身体特性, 侵襲下での代謝動態,栄養管理の重要性を理解することが前提となる.
本稿では,高齢者の身体特性,侵襲下の生体反応,栄養障害の特徴と基本的評価項目について解説し,当院における高齢の熱傷患者と腹部大血管手術を行った高齢患者に対する栄養管理下での早期理学療法の実際を紹介する.
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