特集 パーキンソン病の理学療法最前線
パーキンソン病の理学療法最前線
長澤 弘
1
Nagasawa Hiroshi
1
1神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部リハビリテーション学科理学療法学専攻
pp.493-500
発行日 2009年6月15日
Published Date 2009/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101426
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
パーキンソン病は神経難病の1つであり,有病率は人口10万人に対し100~150人とされ,高齢化社会の進展に伴って患者数は増加傾向にある.病理学的には,中脳黒質におけるメラニン細胞の選択的な減少,およびLewy小体が出現する進行性の変性疾患である.生化学的には,黒質線条体におけるドパミン代謝が低下している.これらを基盤として出現する臨床徴候には,安静時振戦,固縮(筋強剛),無動,姿勢反応障害があり,四大徴候と呼ばれている.その他,自律神経症状や精神症状に加え,長期L-dopa投与症候群などが病巣部位やその広がりによって複雑に絡み合う.患者のADL(activities of daily living)上は,病態の進行に伴い多岐にわたる運動機能障害や能力低下などの活動制限・参加制約が生じ,QOL(quality of life)にも大きな影響を及ぼす.
パーキンソン病治療の第一選択は薬物療法であるが,日本神経学会による「パーキンソン病治療ガイドライン」1)にも,「運動訓練はパーキンソン病の臨床評価の改善に効果があると結論できる」と記載されている.本稿では,理学療法評価,理学療法・運動療法におけるエビデンス,systematic review,筆者らが実施し,推奨しているトレッドミルを用いた後進歩行トレーニングの紹介など,パーキンソン病患者に対する理学療法の最前線を解説する.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.