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はじめに
パーキンソン病の有病率は人口10万人あたり100~150人といわれており,特に65歳以上では200人と推計されている.パーキンソン病は中枢神経変性疾患で進行性の疾患である.治療としては,薬物療法,深部電気刺激などの外科的処置,リハビリテーション,患者教育などがある.リハビリテーションにより薬物療法の効果を最大限に引き出すことができ,薬物療法との併用によりさらに効果を望むことができる.
しかし,パーキンソン病患者に対するリハビリテーション効果に関して,エビデンスの高い文献の数はまだ限られている.日本神経学会による「パーキンソン病治療ガイドライン2002」を作成する際にエビデンスの高い文献を選択したが,残念ながら文献数としてはまだ少ないようであった.表にエビデンスレベルを示す.その中から,level Ⅰbであった文献について一部紹介する.Montgomeryら1)は,290人のパーキンソン病患者を対象に,教育指導,情報提供,運動療法や医学的助言などを行った群(介入群)とケアのみを行った群(対照群)の2群にランダムに分け,6か月間の介入効果を調査した.その結果,介入群では,トレーニング時間の増加,off時間の減少,往診・通院日数の減少,QOL評価の改善に有意差を認めた.さらに,6か月の介入期間中におけるL-dopaの投与量は,介入群ではほとんど変化がみられなかったが,ケアのみを行った対照群では有意に増量を認めた.この結果から,運動療法,教育指導などを行うことにより,薬物療法の効果を最大限に引き出すことができると示唆された.
本稿では,本邦でのパーキンソン病患者を対象とした調査結果や,「パーキンソン病治療ガイドライン」でエビデンスとして採用された文献の紹介を通して,パーキンソン病に対するリハビリテーションの現状をまとめ,理学療法のポイントについて述べる.
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