書評
―丸山仁司,他(常任編集)/石黒友康・高橋哲也(ゲスト編集)―「考える理学療法 内部障害編 評価から治療手技の選択」
内田 賢一
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1神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部リハビリテーション学科理学療法学専攻
pp.258
発行日 2009年3月15日
Published Date 2009/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101376
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呼吸器疾患や循環器疾患の患者を目の前にした際,「ちょっと体を動かすだけで息切れが生じてくるのに,本当に運動を行ってもよいのだろうか」とか,「昨日心臓の手術をしたばかりなのに,本当に今日から動いても大丈夫なのだろうか」など,戸惑いと不安の中で理学療法を行っている新人理学療法士の方も多いのではないだろうか.内部障害は,骨関節障害や中枢神経障害などのような目で見てわかる身体の動きの障害としてはとらえにくいため,難しいとの先入観を持たれているような気もするが,本書は内部障害の患者を担当した際の「なぜだろう?」,「どうして?」,「平気だろうか?」といった日々のちょっとした疑問を解き明かすのに,大きな力を貸してくれるものと確信する.
たとえば,慢性閉塞性肺疾患の患者に対する理学療法を行う際には,運動負荷量の増減に呼応する呼吸困難感や心拍数,血圧,息づかいや顔色,表情などに随時注意を払わなければならない.つまり,内部障害の患者に対する理学療法の特徴は,リスク管理と運動耐容能の改善を同時進行で行っていくことである.急速に高齢社会となったわが国では,今後内部障害を有する患者が多くなることが予想される.
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