書評
―丸山仁司 編集―『考える理学療法―評価から治療手技の選択』
宮本 重範
1
1札幌医科大学保健医療学部
pp.945
発行日 2004年11月15日
Published Date 2004/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102487
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本邦において,オートラリアの理学療法士,マーク・ジョーンズ氏が全国研修会や理学療法教育に携わる教員の講習会を通して理学療法におけるクリニカルリーズニングの重要性を説いて久しい.
運動器疾患の理学療法評価においては,まず,患者の訴えを十分聴き取ることが大切である.問診で得られた情報に基づき姿勢や動作を観察し,さらに必要と思われる他動的検査・測定,触診を行い,得られたすべての症状,徴候を統合・解釈することにより障害の部位,障害組織などの診断を行うべきである.これらのリーズニング過程を経て障害像が明らかになると同時に,適切な治療方針を立て,有効な治療法・手技の選択がなされることになる.このような系統的な評価がなされない限り,理学療法の効果についての一貫した根拠は得られないし,従来通りの経験や個々の技量で治療が行われることになる.
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