書評
―丸山仁司 編集―『内部障害系理学療法実践マニュアル』
黒川 幸雄
1
1新潟医療福祉大学
pp.764
発行日 2004年9月15日
Published Date 2004/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102481
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内部障害との関係は古くて新しい
本書の有用性を説明する前に,リハビリテーションや理学療法との関係で,内部疾患とそれによる内部障害の位置付けが,どのように変化してきたかを概括してみる.
編者の丸山仁司氏が,序文にも挙げられた循環器疾患,呼吸器疾患,代謝疾患,腎臓疾患,膀胱直腸障害,消化器疾患,悪性新生物(癌含む),その他の疾患によるところの機能障害・能力障害・社会的不利の発生に対するリハビリテーション医療,理学療法の役割は,昭和40年代のリハビリテーションや理学療法の草創期から気付かれていたことである.とりわけ呼吸器疾患(結核,肺炎など)に対しては,肺理学療法,呼吸理学療法(リハビリテーション)などとして,成書ともなり,親しまれてきたものである.心疾患への関心は,1985年以降脳卒中を追い越し,死亡原因順位が第2位になる頃より関心が高くなってきている.最近は,とみに生活の欧米化により糖尿病・肥満・高血圧などを筆頭に生活習慣病が蔓延しはじめ,この分野での理学療法の活躍が待たれるところであるが,診療報酬上の担保がないと,医療機関としても理学療法を使うようになれないのが問題である.
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