Laboratory Practice 〈生化学〉
異常値の原因と発見の糸口(前編)―分析前段階でのチェックおよび精度管理での発見
中野 幸弘
1
1宝塚市立病院中央検査室
pp.214-218
発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103479
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
ある人から得られた検体を測定した結果の値は,通常基準範囲と呼ばれる範囲内に入るが,その人に何らかの医学上のトラブルがあるとき,基準範囲を外れる.そのときのデータは患者の現在の病態を反映した臨床的な異常データである.
しかし,特に臨床的な問題がないにもかかわらず,分析装置から臨床的に異常なデータが打ち出されるときこれを一般的にトラブルと呼ぶ.
このようなデータは,臨床的な異常データと区別し,検体により発生する①検体に起因する異常データ,②使用した測定系で使われる試薬・標準品に起因する異常データ,分析装置のトラブルによって生じる③機器に起因する異常データが存在する.
異常値を素早く発見するための第一歩は,自動分析装置にパラメータを間違わずに入力し,安定性のよい試薬を選択し正しい標準物質を用いきちんとした精度管理を行うことが必要である.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.