Laboratory Practice 〈管理運営〉
データの2次利用の視点からみた臨床検査情報の活用
片岡 浩巳
1
1高知大学医学部附属医学情報センター
pp.209-213
発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103477
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はじめに
最新の調査1)によれば電子カルテの普及率は50%,オーダエントリーシステムは25%の施設に導入され,少なくとも75%の病院情報システムはオーダエントリーシステム以上の機能をもったシステムが稼働している状況である.電子カルテには,検査歴,病歴,薬歴,来院・入退院歴,手術歴,処置歴のように構造化されたデータに加えて,サマリや経過記録などのテキストデータも記録されている.これらの文字情報として記録されたデータは自然言語処理などの高度な情報技術が確立されないかぎりデータの2次利用が困難であるのに対し,臨床検査データの大部分は,構造化された形式のデータが比較的多く,最も客観的な指標として利用できる点が優れている.
一方,検査室では,ほぼすべての検査室に検査情報システムが導入されており,自動分析装置のオンラインデータ収集などの機能により,大量のデータが自動的に収集されている.これらの膨大なデータを長期間蓄積し,データの2次利用を行うことで,診療支援や効率的な運用法を目指した業務評価などさまざまな分析が可能である.しかし,これらの膨大なデータを有効活用するためには,情報探索環境のインフラ整備と探索技術を修得した人材が不足している問題がある.また,データの供給源となる検査室の精度管理やデータ管理の運用法に関しても考え直す必要がある.そこで,本稿では,臨床検査技師が学ぶべき情報技術のなかで,データの2次利用に焦点を当て,知識探索技術の応用例の紹介とそれらの研究を支える長期時系列の精度管理の重要性について述べる.
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