Laboratory Practice 〈生化学〉
アミラーゼ反応系(酵素法)を利用したカルシウム測定法の原理
木全 伸介
1
1東洋紡績株式会社 敦賀バイオ研究所
pp.274-275
発行日 2007年3月1日
Published Date 2007/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101182
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はじめに
総カルシウム(Ca)の日常検査法としてo-クレゾールフタレインコンプレクソン(o-CPC)法が多くの施設で利用されている.本法はアルカリ条件下,o-CPCと血清中Caの錯体形成によって生じる発色度からCa濃度を求めるものである.アルカリ条件下においてCaはo-CPCとの結合よりもアルブミン(Alb)との結合のほうが強く,血清Alb濃度に応じて発色が不十分となり蛋白質結合型Caの一部が測定できていないとの報告がある2).また,日常検査での問題点として,検量線がシグモイド曲線を示すこと,開封保存中,緩衝液のpH低下により検量線がシフトすること,共存するMgなどのイオンの影響を受けることなどが指摘されている1,3).
一方,o-CPC法の問題点を解消すべく種々の酵素法が提案された.そのなかで,アミラーゼ反応を利用した方法が,Ca測定試薬初の酵素法として市販され,臨床検査室で利用されてきている.
本稿では,アミラーゼ反応を利用した酵素法の測定原理について,市販キット“ダイヤカラー(R)・リキッドCa(東洋紡)”4)を例に解説し,本原理に基づく本法の特化性能について説明する.
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