技術講座 生化学
尿中酵素の測定法2—アミラーゼ,γ-GTP
佐野 紀代子
1,2
,
宇野 恵美子
2
1東京医科歯科大学生化学
2東京医科歯科大学病院検査部
pp.701-709
発行日 1984年8月1日
Published Date 1984/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203110
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尿中に存在する酵素はRaab1)の総説に述べられているように,正常状態でも30種近くのものがあるが,そのうちの多くは微量しか含まれていないので,測定前に濃縮を行うなどの前処理が必要となり,手軽に測定するというわけにはいかない.その点,アミラーゼ,γ-GTPは血清中とほぼ同じ量が尿中に出現するので,測定系も血清と同じでよいという利点があり,検査法として容易に取り入れられやすい.
尿中にアミラーゼが存在することは既に1863年Cohnheimにより見いだされ,1908年Wohlgemuth2)により測定法が確立されて以来測定されていることから歴史は古く,また今日でも日常検査法として定着している唯一の尿中酵素である.尿中アミラーゼは血中由来であるため,その臨床的意義はほぼ血清アミラーゼと同義である.一方,γ-GTPはOrlowski,Goldburgにより1960年代にヒト組織中に存在することが見いだされ,1962年Orlowski3)により尿中γ-GTPが初めて測定された.尿中γ-GTPの主たるものは血中から漏れ出てきたものではなく,腎に由来するものであるから,その測定は各種腎疾患,薬物の腎障害の病態把握のパラメーターとして近年注目されている.
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