臨床化学分析談話会より・41<関東支部>
現象の把握と究明の手掛かり—アミラーゼ測定法の問題点
溝口 香代子
pp.53
発行日 1977年1月15日
Published Date 1977/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914239
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第195回分析談話会(1976.9.21)は東大薬学部記念講堂で開催され,満員の盛況であった.アミラーゼ測定法の問題点というテーマで,虎の門病院・中山年正先生と名大病院中検・高阪彰先生による話題提供が行われた.
中山先生はアミラーゼの種類と各々の性質から話を始められた.ヨウ素デンプン反応の程度を示すblue valueと還元糖の生成量を示すreducing valueの関係が反応pHによって異なることから,まずアミラーゼ測定法の選択について問題点が示唆された.基質である多糖類の糖鎖の長さとヨード呈色との関連,側鎖の有無による色調(吸収極大)の差,Ca2+およびC1—の作用,ヨウ素デンプン反応の直線性と実際の活性測定限界について述べられた.次にamyloclastic methodとして広く用いられているCaraway法に改良を加え,より簡便で精度の高い方法とした経緯を話された.分析精度の向上に伴い,試薬特に基質のロット間変動がみえるようになり,その原因として基質中のアミロペクチンの含有量が考えられる.ここで基質の種類と活性値についての比較を示し,アミラーゼ測定の最大の問題点が均一な基質の入手にあることを強調された.
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