技術解説
救急検査としてのアミラーゼ測定法
丹羽 正治
1
1国立東京第二病院医化学科
pp.307-311
発行日 1962年5月15日
Published Date 1962/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905965
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I.救急検査として備うべき条件
日常の診療の際に急に検査を必要とする場合は従来から少なくなく,すでに何種類かの検査がこの種の救急検査項目として利用されている。元来診療は24時間態勢にあるため,それの基礎となるデータを提供する各種検査も当然24時間態勢にあることが要請され,救急的な検査を行なう機会あるいはその検査項目は今後一層増加するものと予想される。この種のものは検査の性格上,大施設にあっても専門技術者の勤務時間外に医師,インターンあるいは当直技術者など,平生この検査を行なうことに慣れていない人々の手で行なわれたり,あるいは第一線の実地医家などによって行なわれたりする可能性が大きい。
従ってこれらの救急検査の具備すべき条件として考うべき点は,第一にはだれがやっても測定したときの-ばらつき」の少ないこと,すなわち再現性の良好な検査方法であること。第二には特殊な技術,器具,薬品などを使わずに済むこと,すなわち操作が簡便であること。第三には検査に要する時間が短いこと,などであろう。これらの条件を満たすためにはある程度,検査の正確度が犠牲にされるのもやむを得ない。要するに救急検査として診療に役立つ範囲内の正確性があればよいのである。
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