今月の主題 ヘモグロビン異常
技術解説
ヘモグロビン異常症の遺伝子解析
服巻 保幸
1
Yasuyuki FUKUMAKI
1
1九州大学医学部生化学第一講座
pp.347-356
発行日 1986年4月15日
Published Date 1986/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912924
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DNA組み換え技術により遺伝子を単離し,その構造を塩基レベルで知ることができるようになり,ヘモグロビン異常症の中でも特にグロビン鎖の合成障害に基づくサラセミアの病因解析が急速に進歩した.
その解析には遺伝子の構造解析として,大まかな変化を見いだすSouthernプロティング法,さらに塩基レベルでの異常を見いだすクローン化DNAを用いた塩基配列決定法があり,次に見いだされた構造上の変化と病因の関連性を検討する遺伝子の機能解析がある.後者に関しては,COS細胞やHeLa細胞などの血球以外の異種細胞に,SV40ベクターに組み換えた遺伝子を導入し,その発現を解析する方法がよく用いられており,これまでこの方法によりサラセミアの病因の多くが解明されてきた.今後はこの方法では明らかにできない遺伝子発現制御機構の異常を解析するため,赤芽球系細胞やトランスジェニックマウスを用いた遺伝子発現系の開発が期待される.
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