病気のはなし
異常ヘモグロビン症
大庭 雄三
1
Yuzo OHBA
1
1山口大学医学部臨床検査医学講座
pp.186-192
発行日 1996年3月1日
Published Date 1996/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902635
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新しい知見
蛋白の合成後修飾の特殊例
遺伝子DNAの塩基配列が容易に決定できるようになったおかげで,異常ヘモグロビン(Hb)の同定もDNA分析によって行われることが多くなった.ただし塩基配列イコール蛋白のアミノ酸配列とは言い切れない場合がある.25年前に同定されたHb Bristol[β67(E11)Val→Asp]は最近DNA分析によって同定されたHb Alesha[βCD67 GTG(Val)→ATG(Met)]と同一であることが証明された.すなわちDNA分析の結果によればバリンからメチオニンへの置換のはずが,蛋白分析の結果からはアスパラギン酸が見いだされた.このことは独立4症例について確認された.この異常Hbではβ67 Metが速やかに化学修飾を受けてAspに変化する.
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