アイソエンザイム・8
γGTP
尾崎 監治
1
,
澤武 紀雄
1
,
服部 信
1
1金沢大学第1内科
pp.899-903
発行日 1981年8月15日
Published Date 1981/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911310
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はじめに
γ glutamyl transpeptidasc (γGTP)はグルタチオンなどのγグルタミルペプチドを加水分解し,その分解したγグルタミル基を他のペプチドやアミノ酸に転移させる作用を有する酵素である.本酵素は生体内に広く分布し,健常成人では腎に最も活性が高く,膵がこれに次ぎ,正常肝では活性は低い1).しかし,種々の肝胆道疾患において肝および血清γGTPの活性が上昇することが知られており,今日血清γGTP活性の測定が肝胆道疾患の血清酵素学的診断法として普及していることは周知のごとくである.
一方,γGTPのアイソエンザイムについては1965年Kokotらの濾紙電気泳動による報告以来,種々の支持体を用いた検討が試みられてきたが,その臨床的意義については十分解明されていなかった.著者らは電気泳動法として現在最も分離能が優れていると考えられるポリアクリルアミド・グラジェントゲル・スラブを支持体に用いる方法により,種々の肝胆道疾患患者血清におけるγGTPアイソエンザイムを検討した結果,肝細胞癌患者血清中に特異的に出現するアイソエンザイム(novelγGTP)を見いだした2〜9).本稿では,著者らが行っているnove1γGTPの検出法を中心に解説し,併せて,その臨床的意義について述べる.
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