トピックス
肝細胞癌とγ-GTPアイソザイム
登谷 大修
1
,
服部 信
1
1金沢大学第一内科
pp.1020-1021
発行日 1983年11月1日
Published Date 1983/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202904
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γ-GTPはγ-glutamyl peptideを水解するとともに,そのγ-glutamyl基と他のアミノ酸やペプチドとの転移反応を触媒する膜結合酵素である.成体では種々の臓器に広く分布しており,低値ながら健常者血清中にも可溶性の状態で認められる.種々の肝胆道疾患においてはその機序の違いはあるものの,血清γ-GTPの上昇がみられ,肝癌においても同様に活性の上昇を認めることが多いが,活性値のみからは肝癌の存在診断としても,さらに原発,転移の鑑別診断としてもその有用性は低い.
一方,本酵素は以前より癌胎児性蛋白としての性格が示されており,このような観点から,著者らはアイソエンザイムによる検討を行い,肝細胞癌患者血清に特異的に出現するγ-GTPアイソエンザイムの存在を明らかにし,Hepatoma specific novel γ-GTPアイソエンザイム(Novel γ-GTP)と呼称してきた1,2).γ-GTPアイソエンザイムの分離には各種の支持体を用いた方法があるが,著者らは分離能の優れたPolyacrylamide gradient gel slabを用いている.
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