増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
血液生化学検査
酵素および関連物質
心筋・肝関連
γ-GTP
小貫 誠
1
1昭和大学医学部第2内科
pp.94-95
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909764
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検査の目的・意義
血清γ-GTP(γ-glutamyl transpeptidaseあるいはtransferase)は,γ-グルタミンペプチドを加水分解しγ-グルタミン基をペプチドやアミノ酸に転移させる作用を持つ転移酵素であり,グルタチオンを介し細胞内へペプチドやアミノ酸を取り込む機能を持つといわれている.吸収や分泌に関連する種々の臓器に分布し,腎,膵,肝,小腸,脳などに存在する.γ-GTPの組織内局在は,他のペプチダーゼと同様にbrush border membrane酵素として局在している.
血清γ-GTPは主として肝由来で,尿γ-GTPは腎由来である.肝のγ-GTPは肝細胞のマイクロソーム分画や細胆管などに存在し,ALP,LAPなどとともに胆道系酵素とも呼ばれている.胆汁中のγ-GTP活性は正常血清のそれより約100倍高いといわれている.胆汁うっ滞では,γ-GTPの合成誘導と胆汁への排泄障害の結果,血清γ-GTP値が上昇する.アルコール性肝障害や薬剤性肝障害での上昇は,合成の誘導に起因する.
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