今月の主題 血小板
総説
多能性細胞としての血小板
山中 學
1
1東京大学,中検部
pp.863-872
発行日 1981年8月15日
Published Date 1981/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911305
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今から約100年前Bizzozero1)が,赤血球や白血球とは別の,独立した細胞として血小板の存在を明らかにし,血管壁傷害部への血小板付着が血栓形成の最初の反応であることを示した.またウサギやモルモットの腸間膜小血管を顕微鏡下に観察して,流血中の血小板の形態が小円盤であることを認め,また指尖から採取した血液の塗抹標本での,血小板凝集塊形成,それへの線維素の集陶,時間的経過による変形などを詳しく記録した.
それ以来,血小板は生体の止血仮応に重要な役割を果たすものとして認識されてきた.臨床的には血管,血液凝固因子とともに,血小板の異常は出血性素因の原因として常に注目されていた.
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