今月の主題 血小板
技術解説
βTGの測定
新井 仁
1
1高崎鉄道病院内科
pp.855-861
発行日 1981年8月15日
Published Date 1981/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911303
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血小板機能検査として生体内の状態をより正確に表現する検査法が期待されている.しかし,従来行われている方法では,精度や手技上おのずと限界がある.βトロンボグロブリン(βTG)は正常な状態では血漿中にはほとんど存在しないが,放出反応に際して循環血中に遊離される血小板蛋白であり,ラジオイムノアッセイ(RIA)により測定可能となった.
βTGは血小板第4因子(PF4),血小板フィブリノゲンや血小板由来成長因子(PDGF)とともに血小板α顆粒中に存在し1,2),ADP,コラゲンやトロンビンにより血小板から放出される.81個のアミノ酸から成る分子量8,851のサブユニットから成り二硫化物の橋(disulfide bridges)を形成し,βTGの分子量は約36,000である.その分子構造はlowaffinity PF 4(LA-PF 4)と類似している3,4).βTGとLA-PF 4とは構造上の類似のほかに免疫化学的にも類似している5).最近のNiewiarowskiら5)の報告によれば,LA-PF 4がまず血小板より放出され,同時に血小板より放出されるプロテアーゼによりβTGに分解されるとしている.
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