特集 生殖医学のcutting edge
多能性幹細胞からの配偶子形成
永松 剛
1
1九州大学大学院医学研究院応用幹細胞医科学ヒトゲノム幹細胞医学
キーワード:
多能性幹細胞
,
PGCLC
,
体外培養
,
配偶子形成
Keyword:
多能性幹細胞
,
PGCLC
,
体外培養
,
配偶子形成
pp.35-40
発行日 2019年6月1日
Published Date 2019/6/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.26.02_0035-0040
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多能性幹細胞からの配偶子形成は大きく分けて2つの段階から成る。多能性幹細胞から始原生殖細胞を誘導する発生運命決定のプロセスと,始原生殖細胞から成熟した配偶子を誘導するプロセスである。多能性幹細胞からの始原生殖細胞誘導に関しては2003年に複数のグループから報告された。しかしながら正常な次世代個体を生み出す始原生殖細胞の誘導は,2011年に胚性幹細胞(ES細胞)からエピブラスト様細胞への分化を経て始原生殖細胞様細胞(PGCLC)を誘導するという,発生過程を模倣する方法によってはじめてなされた。PGCLCはES細胞からのみならず人工多能性幹細胞(iPS細胞)からも誘導可能であり,生殖補助医療の観点のみならず,絶滅種の保全という面からも大きく期待されている。近年PGCLCから生体外で精原細胞や卵母細胞への誘導がなされ,生殖細胞の分化過程を生体外で再現することにも成功している。そして,マウスを用いて得られたこれらの知見をヒトを含むほかの動物種の多能性幹細胞へと応用することがはじめられている。「KEY WORDS」多能性幹細胞,PGCLC,体外培養,配偶子形成
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