第2回医学書院臨床検査セミナーより・1【新連載】
血小板—その多能性
山中 學
1
1東京大学中央検査部
pp.1509-1518
発行日 1981年11月15日
Published Date 1981/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911418
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囗はじめに
今日,私がお話しいたしますのは"血小板—その多能性"についてであります."多能"という言葉にちょっと問題があるかもしれません.あるいは多様性と言ったほうがいいかもしれません.血小板は御存じのように,止血あるいは血栓で重要な役目を果たしているのですが,そのことだけでも最近は臨床の先生方に興味を持たれまして,私どもの検査部にも血小板の数をはじめ,機能的な検査の要望が非常に多くなりました.私たちが若いころ,研究室で血小板の仕事をしていたときに比べますと,全く思いもよらないほどに,血小板というものに対する関心が大きくなってきました.これは我が国だけではなくて,世界的にそういう傾向が強く,特にここ10年ぐらいの血小板に関する研究は,たいへん専門化してきておりますし,医学関係のみならず,いわゆる理学,薬学の専門家の方たちが血小板に取り組んでおられる.研究だけではなく,臨床的にどういうふうにそれぞれが関係しているかということが,これからお話しする内容です.
血小板というものがいろいろな面にチョッカイを出す,それに対して血小板の機能を制御するような方法で,ある種の病気,あるいは病態が改善されているといった事実が最近たくさん出てまいりました.今日は,本来の血小板の役目であります止血以外のことについて,血小板はどういうふうな点に関与しているかということを御紹介させていただいて,私の責めを果たしたいと思います.
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