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特集 組織幹細胞の共通性と特殊性
Ⅰ.幹細胞の自律性とニッチ依存性:Q.幹細胞の自己複製能とは何か?
多能性の遷移とエピジェネティクス
Pluripotency transition and epigenetics dynamics
遠藤 充浩
1
,
丹羽 仁史
1
Endoh Mitsuhiro
1
,
Niwa Hitoshi
1
1熊本大学発生医学研究所
キーワード:
多能性幹細胞
,
転写
,
エピジェネティクス
,
リプログラミング
,
胚発生
Keyword:
多能性幹細胞
,
転写
,
エピジェネティクス
,
リプログラミング
,
胚発生
pp.113-118
発行日 2021年4月15日
Published Date 2021/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201325
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初期胚から樹立される胚性幹(ES)細胞は,一定の培養条件下で,分化多能性を保ちつつほぼ無限に自己複製することができる。多能性は,一般的には三胚葉すべてに分化できる能力として規定される。近年,多能性の状態には幅があることがわかり,エピブラスト幹細胞,フォーマティブ幹細胞など,異なる発生段階に相当する多能性幹細胞を樹立・維持することが可能になった。また,次世代シークエンス技術を用いた網羅的な遺伝子発現解析やDNA修飾,ヒストン修飾,クロマチン構造解析の精度が上がったことにより,少数細胞から成る初期胚における解析が広く行われるようになり,これまでに樹立されてきた様々な多能性幹細胞が,胚のどの細胞に相当するかについての知見が蓄積されるようになった。それに伴い,多能性の形質と遺伝子発現・エピゲノム修飾との因果関係についての理解も深まりつつある。
本稿では,多能性状態の遷移とエピジェネティクスの関係について,DNAメチル化とポリコーム群を中心に最近の知見を概説する。
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