特集 超音波検査の技術と臨床
Ⅲ.循環器
1.心エコー図法の種類と実施法
1) Mモード-エコー図
林 輝美
1
Terumi HAYASHI
1
1獨協医科大学越谷病院循環器内科
pp.1292-1296
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904924
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Mモード-エコー図の特徴
心臓は収縮・拡張運動を繰り返し,ポンプ機能を果たしている.心周期の各時相を心時相というが,心時相ごとの心臓の動きや血行動態の変化を正確に評価できることが,Mモードーエコー図の最も優れた点である.すなわち,Mモードとは,動き(motion)を解析する手法を意味し,空間分解能,時間分解能に優れている.通常50mm/秒のスピードで掃引され,ディスプレイ画面,ストリップチャートや写真上,縦軸に距離の目盛りが,また,横軸に時間の目盛りが表示される.これらの目盛りを用いて,構造物の大きさ,詳細な動きの有様や運動速度が,簡単にしかも容易に計測できる.
より正確に心時相を判定するために,心電図と可能なら心音図を同時記録する必要がある.心電図では収縮期の終了時点が正確に判定できないので,左室の駆出の終了,すなわち収縮期の終了時点を示す大動脈弁の閉鎖音であるⅡ音大動脈成分(ⅡA)を目安として,収縮末期を判定する.探触子を当てるのに邪魔にならず,ⅡAがよく記録される胸壁上の場所を選び,心音マイクを接着しておく.一方,心電図は拡張末期や収縮期の開始を示す正確な指標である.R波が高く,Q波が見える誘導を用いる.すなわち,Q波の開始点は心臓の電気的機械的収縮期の開始点を示す指標であるし,R波も収縮開始点として用いられる.
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