特集 超音波検査の技術と臨床
Ⅲ.循環器
9.動脈硬化症
谷口 信行
1
Nobuyuki TANIGUCHI
1
1自治医科大学臨床検査医学
pp.1403-1406
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904945
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
動脈硬化症は,加齢とともに発生する血管の病理学的な変化である.その発生には高コレステロール血症などの脂質代謝,高血圧などとの関係が強く,これまでに多くの研究がある.
動脈硬化の病理学的変化は内膜の変化から始まり,進行とともに壁が徐々に肥厚し内腔の狭窄をきたす(図1).最も初期の変化は,血中の単球由来のマクロファージが内膜に付着しLDLを取り込むもので,組織学的には生後8か月にはすでに半数近くに認められると考えられている.その後,思春期から40歳までには脂肪線条が内膜およびその表面にでき,これらが進行するとプラークとなる.そのなかで脂質に富むプラーク(lipid-rich plaque)は表面が破壊されやすいためunstable plaqueと呼ばれ,急性心筋梗塞(急性冠症候群)との関連が深い.一方,線維性成分に富むfibrous plaqueは安定(stable plaque)であると考えられている(図2).
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.