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連載 眼科医にもわかる生理活性物質と眼疾患の基本・1【新連載】
序論:いま注目される生理活性物質
Introduction
中澤 満
1
Mitsuru Nakazawa
1
1弘前大学大学院医学研究科眼科学講座
pp.24-26
発行日 2010年1月15日
Published Date 2010/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103053
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分子生物学の威力
さまざまな病気に対してその本態を探り,そして治療法を見いだしていくことが医学の本筋であることには今も昔も変わりはないであろう。眼疾患についても然りである。病気の本態を探る方法についてその時代の学術研究の影響を受けることは必至であり,それらには形態学,生理学,生化学などの学問領域をそれぞれ1つの方法論として利用しながら今日に至っていることには異論はないと思われる。
近年はそれらの領域に分子生物学という新たな領域が加わるようになり,これまでの生命現象がそれぞれの研究手法ごとに分断されて理解されていたものが,分子という1つの切り口で横断的かつ統一的に俯瞰しようとする流れに変わってきている。そのような流れのなかで,従前の医学体系のなかで独立の疾患であると理解されていたものが実はきわめて類似した病態であるとの理解が進みつつあるものもある。多発性硬化症が脱髄性疾患という範疇の代表的疾患であったものが,ミエリンタンパク質に対する自己免疫疾患であることが判明してきたことなどはその代表例であろう。
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