今月の特集 知っておきたい がんゲノム医療用語集
エキスパートパネル&治療,治験,薬剤に関する用語
須賀 淳子
1
,
赤羽 俊章
2
1京都大学医学部附属病院腫瘍内科
2鹿児島大学大学院医歯学総合研究科腫瘍学講座病理学分野
キーワード:
殺細胞性抗がん剤
,
分子標的治療薬
,
免疫チェックポイント阻害剤
,
actionable(druggable)変異
,
治験
,
先進医療
,
エキスパートパネル
,
細胞内シグナル伝達
,
カスケード
Keyword:
殺細胞性抗がん剤
,
分子標的治療薬
,
免疫チェックポイント阻害剤
,
actionable(druggable)変異
,
治験
,
先進医療
,
エキスパートパネル
,
細胞内シグナル伝達
,
カスケード
pp.952-966
発行日 2019年8月15日
Published Date 2019/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202110
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殺細胞性抗がん剤
■殺細胞性抗がん剤の種類
殺細胞性抗がん剤とは,がん細胞の増殖を阻止する薬のことである.私たちの体を構成している細胞は,常に細胞分裂と細胞死(アポトーシス)を繰り返すことで一定に保たれている.しかし,がん細胞では環境因子(紫外線やたばこなど)や生活環境(ストレスなど)といったさまざまな因子がDNAを傷つけることで,がん遺伝子の活性化や,がん抑制遺伝子の不活性化が起きるため,正常細胞と比較して,非常に速いスピードで細胞分裂し,増殖し続ける.殺細胞性抗がん剤は,がん細胞の細胞分裂が活発であるという特徴を利用して開発されており,アルキル化剤,白金製剤,トポイソメラーゼ阻害薬,抗がん性抗生物質,代謝拮抗薬,微小管阻害薬の6つに分類される1,2)(図1).これら薬剤の一部は,細胞が分裂・増殖するための細胞周期を阻害する.トポイソメラーゼ阻害薬,抗がん性抗生物質,代謝拮抗薬は,DNA合成期であるS期を阻害し,微小管阻害薬は細胞分裂期であるM期を阻害する.アルキル化剤と白金製剤は,細胞周期に非特異的にDNA複製を阻害する.
現在,わが国で承認されている殺細胞性抗がん剤の種類とその作用機序,代表的な薬剤と適応がん種について表1に示した.
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