増大号 超実践! 病理で迫るがんゲノム医療—検査から治療まで
1章 知っておくべき基本的なこと—がん遺伝子検査の特徴と,がんゲノム医療の流れ
がんゲノム医療の流れ
エキスパートパネル
赤羽 俊章
1,2
1鹿児島大学病院腫瘍センター・ヒトゲノム遺伝子解析センター
2鹿児島大学大学院医歯学総合研究科病理学分野
キーワード:
エキスパートパネル
,
molecular tumor board
,
MTB
,
clinical tumor board
,
CTB
Keyword:
エキスパートパネル
,
molecular tumor board
,
MTB
,
clinical tumor board
,
CTB
pp.1062-1064
発行日 2025年10月15日
Published Date 2025/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048514200690101062
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はじめに
並列型シーケンサーを用いた遺伝子解析の結果は,ホルマリン固定パラフィン包埋組織から抽出した核酸を使用した場合,時に不確実であり,しばしば解釈が難しい場合がある.このような検査を包括的がんゲノムプロファイリング(comprehensive genome profiling:CGP)検査として用いて,適切な薬剤選択の指標として考える場合,PCR法などを用いた従来のコンパニオン検査とは異なり,結論を得るには多くの専門家の意見の集約が必要になる.なぜならば,意義がある変異と意義のない変異が混在するためである.検出された変異に意味付けを行い,ゲノム情報の取捨選択を行う会議がエキスパートパネルであり,CGP検査の結果を適切に判断するための専門家会議である.
エキスパートパネルを行うための施設基準や制度についての詳細は誌面の都合上省くが,本稿では,鹿児島大学病院(以下,当院)で実施しているエキスパートパネルの実際を紹介・解説する.

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