今月の表紙 代表的疾患のマクロ・ミクロ像 非腫瘍・9
転移性肝癌との鑑別が必要な肝過誤腫のマクロ・ミクロ像
小松 明男
1
,
坂本 穆彦
2
Akio KOMATSU
1
,
Atsuhiko SAKAMOTO
2
1東京都保健医療公社多摩南部地域病院検査科
2大森赤十字病院検査部
pp.826-827
発行日 2011年9月15日
Published Date 2011/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102735
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過誤腫は,組織構成成分混合比率の異常であり真の腫瘍とは疾患概念を異にする.組織の迷入や退縮障害による遺残などが病因とされ,多くの場合臨床経過は良好で偶然みつけられることが多い.したがって,それ自体の診断確定のためよりも,悪性腫瘍との鑑別診断上,重要な意義を有する場合が多い.代表的な疾患として,転移性肝癌との鑑別が必要な肝過誤腫を取り上げる.肝過誤腫の中においても,ことに重要な疾患は肝内胆管の過誤腫である.本稿ではその中でも典型的な疾患としてVMC(von Meyenburg complex)について論じる(図1,2).
VMCの発生頻度については,最近まであまり注目を集めてこなかったためか報告により差があるが,頻度の高いものでも剖検例の6%のようである1,2).しかし,本症と転移性肝癌の鑑別診断は治療方針あるいは手術の適応に直接関与する.しかも通常は剖検で見つけられ,生前に診断がつけば症例報告に値する.すなわち鑑別診断上極めて重要と思われる.
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