今月の表紙 代表的疾患のマクロ・ミクロ像 非腫瘍・6
水頭症のマクロ・ミクロ像
小松 明男
1
,
坂本 穆彦
2
Akio KOMATSU
1
,
Atsuhiko SAKAMOTO
2
1東京都保健医療公社多摩南部地域病院検査科
2杏林大学医学部付属病院病理部
pp.528-529
発行日 2011年6月15日
Published Date 2011/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102651
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水頭症は,脳脊髄液(cerebrospinal fluid;CSF)が頭蓋腔内に貯留し,著明な脳室拡大をきたした状態である.すなわち閉塞,狭窄,吸収障害,産生過剰などによるCSFの高度循環障害である.CSFは主として側脳室脈絡叢で産生され,室間孔(Monro孔),第3脳室,中脳水道,第4脳室を流れ,Magendie孔,Luschka孔を経由し大槽(cisterna magna)に集められ,くも膜下腔へと流れ,くも膜顆粒より上矢状洞などの静脈・脊髄神経の神経鞘のリンパ液に吸収される.また毛細血管およびリンパ管からも吸収されている1,2).
水頭症は小児にも成人にも発生する.小児ではCSF循環経路の閉塞が認められる非交通性のものが多い.また奇形によるものが多い.代表的な疾患としては,小脳扁桃の大孔への陥入が原因で大槽(cistern magna)が閉塞されるArnold-Chiari奇形,およびMagendie孔とLuschka孔の閉塞により第4脳室が囊状に拡張するDandy-Walker症候群などが挙げられる.頭囲の拡大は,乳幼児でしばしばみられる.拡大の有無は水頭症の発症時期によって異なる.頭蓋骨の縫合が未完成な段階,すなわち乳幼児では,拡大がみられることがある.しかし縫合が完成する幼児期以降では頭囲の拡大はみられない.
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