今月の表紙 代表的疾患のマクロ・ミクロ像 非腫瘍・3
心筋炎のマクロ・ミクロ像
小松 明男
1
,
坂本 穆彦
2
Akio KOMATSU
1
,
Atsuhiko SAKAMOTO
2
1東京都保健医療公社多摩南部地域病院
2杏林大学医学部付属病院病理部
pp.216-218
発行日 2011年3月15日
Published Date 2011/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102577
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心筋炎には,全身疾患の症状の一部として起こるものと,心筋の炎症が疾患の本態をなすものとがある.ここでは主として,後者について述べる.心筋炎の発生頻度および病的意義については必ずしも明確ではない.その理由は,第一に何ら臨床症状も徴候も示さない可能性が高いこと,第二に病原体の同定が困難であることと思われる.
この問題について広く受け入れられている見解は,以下のとおりである.剖検例の1~9%にみられ,原則として無症状である1).すなわち,大部分は自然治癒する可能性の高い疾患である.しかし,臨床症状を呈するものが少数あり,確定診断がついた場合に後遺症を残さないものは約40%2),また5年生存率は50~60%である3).さらに,臨床症状を呈するか否かにかかわらず,心筋炎から拡張型心筋症へと移行していくのではないかと推定されている4).また,40歳未満の突然死の20%は心筋炎とも考えられている1).心筋炎の原因としては,大部分はコクサッキーBに代表されるウイルスと推定されているが,血中からは,おそらく4日前後で消え,抗体価の上昇までは約2週間が見込まれ,心筋生検からのウイルスのゲノムの検出は約20%である1).
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