今月の表紙 代表的疾患のマクロ・ミクロ像 非腫瘍・1
心筋梗塞のマクロ・ミクロ像
小松 明男
1
,
坂本 穆彦
2
Akio KOMATSU
1
,
Atsuhiko SAKAMOTO
2
1東京都保健医療公社多摩南部地域病院
2杏林大学医学部付属病院病理部
pp.6-8
発行日 2011年1月15日
Published Date 2011/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102524
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心筋梗塞は,冠動脈の虚血による灌流領域の心筋層の広範な壊死である.虚血を起こす原因は,ほとんどが粥状硬化である.冠動脈は機能的終動脈で,虚血に対して障害されやすく,心筋梗塞の症例には一般に粥状硬化性病変の閉塞・破綻がみられる.ほかの原因としては川崎病やBehçet病に代表される冠動脈瘤の閉塞・破綻,左冠動脈肺動脈起始,分娩後特発性冠動脈瘤破裂,冠動脈塞栓,外傷などがあるが稀である.
粥状硬化の好発部位は,冠動脈では起始部近傍の分岐部であることが幾多の研究により明らかにされている.その理由は,以下の2点である.第1に粥状硬化は,大型血管である弾性動脈あるいは弾性動脈と筋性動脈の移行部に起こりやすい.第2に流体力学の法則から,ずり応力(shear stress)の小さいところに好発する(図1,2).
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