今月の表紙 代表的疾患のマクロ・ミクロ像 非腫瘍・8
血管炎による消化管出血のマクロ・ミクロ像
小松 明男
1
,
坂本 穆彦
2
Akio KOMATSU
1
,
Atsuhiko SAKAMOTO
2
1東京都保健医療公社多摩南部地域病院検査科
2大森赤十字病院検査部
pp.726-727
発行日 2011年8月15日
Published Date 2011/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102705
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血管炎は,全身の血管を主座とし血管壁の高度障害を認める原発性炎症である.血管炎においては,理論上すべての臓器が標的になり障害される可能性があるが,どの血管も同様に障害されるのではなく,疾患により好発部位がみられる.好発部位を規定する主たる要因としては,第一に血管の大きさであるが,免疫複合体の役割,特定抗体の有無,肉芽腫の形成,臓器特異性なども深く関与している.現在のところ,チャペルヒル・コンセンサス(Chapel Hill Consensus Conference,1994)が世界的に広く受け入れられている1).
大型の動脈が障害される代表的な疾患としては,巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)および高安動脈炎,中型の動脈が障害される代表的な疾患としては,結節性多発動脈炎および川崎病,小型の動脈が障害される代表的な疾患としては,顕微鏡的多発血管炎,アレルギー性肉芽腫性血管炎(Churg-Strauss症候群),Wegener肉芽腫症などがよく知られている.これらの疾患は時折重複することがある(overlap症候群)2).
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