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感染症に対する抗菌化学療法の進歩には目覚ましいものがありますが,一方で抗菌薬の使用に伴い,各種の薬剤耐性菌が出現してくることは自然の摂理であり,避けられない事実でもあります.実際の臨床の現場では,薬剤耐性菌の耐性機序を解明することで,耐性菌にも有効な新しい抗菌薬が開発されたり,薬剤耐性菌が出現しにくい投与方法が工夫されたりしております.今月の主題は「薬剤耐性菌制御の最前線」ということで,薬剤耐性の機序,問題となっている薬剤耐性菌,薬剤耐性菌をコントロールするための方略など,薬剤耐性菌とその対応に関する最新の情報が提供されています.ご企画は岡山大学病院中央検査部の草野展周先生にお願いし,実際に現場で活躍している専門家の先生方に,基礎・臨床それぞれの立場から解説していただきました.様々な分野で臨床検査医学に携わる読者の皆さまにとって,きっと役立つ内容だと思いますので,是非ご一読いただければ幸いです.
さて,2009年4月にメキシコで発生が確認され,以降全世界に伝播したブタ由来インフルエンザウイルスA(H1N1)による新型インフルエンザも,年が明けてからは急速に患者数が減少し,わが国においてもついに終息宣言が出されました.この間,現場の医療機関では,刻々と変わる行政からの情報に翻弄されながらも,それぞれのご施設ができる限りの力を注ぎ込んで,ほとんどの人たちが初めて経験する新型インフルエンザのパンデミックに対応されたことと存じます.流行が終わってみれば,重症度などの点で,わが国においてはこれまでの季節性インフルエンザとそれほど大きな違いはないように受け止められてはおりますが,小児では急速に呼吸状態が悪化する肺炎例が多数みられるなど,「やっぱり新型は違う!」という印象でした.第2波の流行は今年の秋口からではないかと予測されております.WHOの勧告により,今年のインフルエンザHAワクチンには,パンデミックを起こしたブタ由来インフルエンザウイルスA(H1N1)が含まれる予定です.第2波の流行が始まる前に,多くの国民の皆さんがワクチン接種を完了しておくことが必要だと考えます.また,インフルエンザに罹患した場合,肺炎球菌感染症を併発し重症化することが知られているので,あらかじめ肺炎球菌ワクチンの接種を受けておくことも重要です.
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