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新年を迎え,地球は温暖化しているとはいえ,日本列島の冷え込みは一段と厳しくなって参りました.インフルエンザの流行も各地から伝えられるようになり,いつものような日本の冬を迎えております.病院では発熱で救急外来を受診する患者さんが増え,高齢者の方を中心に,肺炎や心血管障害で入院される方で,入院病床はかなりタイトな状況となっていますが,このような状況になるたびに,いわゆる救急患者のたらい回しがまた起きないかと,立場上は少々不安になってしまいます.先日も知人の葬儀の最中に,倒れられた参列者がいらっしゃり,救急車を要請したのですが,患者さんを収容した後,葬儀会場の前に20分以上停まったままでなかなか発進しませんでした.おそらく収容先を探すのに手間取っていたものと推察されます.東京のど真ん中で,周りにはいくつもの大学病院がある状況でのことであり,つい先日の妊婦さんの事例を思い出してしまいました.自分自身も救急対応に当たることのある立場からは,現場の状況がよく分かるのですが,人手の面も含めて,システム的な見直しが必要なのかも知れません.
今月号の主題として取り上げた「ウイルス感染症」は,最もポピュラーな感染症であり,焦点を当てる範囲も広いので,どのような企画にしたらよいか迷いましたが,最新の動向ということで,基礎・疫学・診断・治療・予防の各観点から,最近の進歩とウイルス感染症を制御するための動向について,専門家の先生方に解説していただきました.ウイルス感染症への対応は,病原診断や特異的治療が難しかったことから,これまでは予防や感染防止対策が中心で,診断・治療面では細菌感染症と較べて方略が少なかったのですが,近年の診断法や治療法の進歩により,一般臨床の場で対応できる手段がかなり増えております.今月号では,基礎的な内容のほか,新しい診断法や最近になって分かってきたウイルスの感染症,そして現在臨床上問題となるウイルス感染症への対策についても取り上げてございますので,是非ご一読いただき,検査医学に携わる読者の皆様の今後の活動の参考にしていただければ幸いです.
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