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あとがき
岩田 敏
pp.650
発行日 2009年5月15日
Published Date 2009/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101991
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桜前線は北上を続け,関東地方は初夏の陽気に包まれています.1年の内でもっとも過ごしやすい季節がやってまいりました.私たち医療従事者にとっては,新人を迎え職場が明るく華やかな雰囲気に包まれるとともに,新人教育に学会活動にと,何かと忙しい時期です.医療安全の観点からは神経を使いますが,これからの医療を背負う人材を育てるという意味で,指導者にとってはより一層の力が入るところでもあります.
今月号の主題には「免疫不全症候群と遺伝子異常」を取り上げました.近年の免疫学の進歩には目覚ましいものがあります.とりわけ免疫系に欠陥をきたす遺伝子異常に関する研究は飛躍的に進歩し,原発性免疫不全症候群の分類方法も,どのような免疫担当因子の欠陥があるかに加えて,どのような遺伝子の異常があるのかという視点から行われており,かつて私たちが学生時代に学んだ臨床像を中心とした分類と比べて,極めて詳細なものとなっています.また,原発性免疫不全症候群の診断に関しても臨床症状に加えて,遺伝子診断を行うことにより,より確実な診断をつけられることから,より適切な治療や,将来的に期待される遺伝子治療にも結びついてくると思います.今回はこの領域のオピニオンリーダーでいらっしゃる防衛医科大学校小児科の野々山恵章教授に企画をお願いし,原発性免疫不全症候群に関する最新の検査,診断,治療についてまとめていただきました.極めて充実した内容となっており,小児科医である私も参考書として手元に置いておきたいと考えている1冊です.検査医学に携わる読者の皆様の今後の活動にきっと役立つことと存じますので,ぜひご一読いただければ幸いです.
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