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あとがき
池田 康夫
pp.330
発行日 2010年3月15日
Published Date 2010/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102265
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血液疾患の患者の治療に従事するようになって40年近くが経過するが,骨髄増殖性疾患患者への病名告知,症状,治療方針の説明にはいつも頭を悩ませている.患者さんや家族の方々にこれらを正しく理解してもらうには,通常の外来では,時間が全く不足しており,外来担当時間ではなく,別に時間を設けて,30分~1時間位かけて説明することが多い.
説明の難しさは,第一に診断名が患者さんにとって全く馴染みのないものであることだが,それにもまして,その病態を説明して理解してもらうことが非常に難しい.骨髄増殖性疾患とはどういう病気であるか? これにはどのような疾患が含まれているのか? そして,その原因として造血幹細胞の異常が考えられていることなどをわかりやすく説明するのだが,骨髄増殖性疾患のなかで互いの移行型がみられることの説明,幹細胞異常と説明しながら,単一の血球のみが突出して異常増加する説明を説得力をもってすることがなかなか難しい.何にしろ相手は全く専門知識がない.しかし何といっても大きな問題は患者さんや家族の最大の関心事である“治療はどうするのか? 今後どのような経過を辿るのか?”についての説明である.通常患者さんは大した自覚症状をもっていないか,あるいは症状は全くなく偶然に血液検査で発見されることから,この病気が腫瘍性の疾患であり,時に急性白血病にも移行する性格をもつものだといってもなかなか納得してもらえない.
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