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あとがき
池田 康夫
pp.820
発行日 2011年8月15日
Published Date 2011/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102716
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IgG4関連疾患が今回の特集に取り上げられた.特集中でも詳しく記述されているように,血清IgG4高値と罹患臓器への著明なIgG4陽性形質細胞浸潤を特徴とする全身性,慢性炎症性疾患であり,本邦から発信された新たな疾患概念である.新たな疾患概念が誕生した歴史を顧みるときはいつもわくわくする気持ちになるが,この場合は日本発信の疾患概念であるだけになおさらである.症例報告に端を発して新しい疾患概念にたどり着いた過程が読み取れて非常に興味深い.
わが国は基礎研究のレベルは高いが,臨床研究に関しては海外の国々に遅れを取っており,臨床研究を促進させるために多くの大学が臨床研究センターなどを立ち上げてはいるが海外のClinical Research Center/Instituteなどと比べるとその規模の違いに啞然とするばかりである.なかでも臨床治験,特に国際共同治験の遅れは著しく,厚生労働省では2007年に「新たな治験活性化5カ年計画」を開始し,臨床治験の体制整備に着手している.治験とは別に,病態の解明,新たな診断,治療法の開発を目指した臨床研究も重要であり,これらの手段として無作為化比較試験,ケースコントロール試験,コホート研究などがあり,その成果が多くの臨床系の雑誌を賑わしている.
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