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あとがき
池田 康夫
pp.450
発行日 2007年4月15日
Published Date 2007/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101298
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慢性骨髄性白血病の治療は,イマチニブ(グリベック®)の登場により変化し,致死的と思われていた疾患が外来における投薬で容易にコントロールでき,治癒が望める状況になってきている.本薬剤の標的が疾患特異的キメラ遺伝子bcr/ablであることから著しい治療成績につながったと思われる.一般に悪性腫瘍に対する分子標的療法は,これまでの細胞毒性の強い抗癌剤と異なり,著しい骨髄抑制をきたすこともなく,患者に優しい治療と考えられがちであるが,ゲフィチニブ(イレッサ®)の例でも明らかになったように,間質性肺炎など思わぬ致死的副作用が出現することもある.当該疾患にのみ特異的に発現している遺伝子や蛋白を標的にして新薬が開発される場合は良いが,腫瘍細胞と正常組織での発現量の差を利用して標的分子が選択され,開発された薬の場合は思わぬ副作用の出現も念頭に置きつつ,承認後に慎重かつ迅速に市販後調査を行う必要がある.どのような治療にもリスクは当然伴うものだが,新しい医薬品の場合,承認後になって明らかになることもしばしば経験されるため,医師はリスク/ベネフィットの考え方を十分に患者に説明することが必要であると同様に,情報の蓄積のために全力を尽くすことが不可欠である.
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