- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
関東地方では遅い梅雨明けを迎えるとともに,連日の猛暑日が続き,お盆休みが始まったこの週末には,各地で熱中症や水の事故が相次ぎました.甲子園では高校生達の熱い戦いが行われています.このあとがきを書いている今,もうすぐ終戦記念日を迎えようとしている8月の半ばは,夏真っ盛りのように見えますが,実は既に立秋を迎え,ふと気がついてみれば随分と日が短くなっていることがわかります.「臨床検査」51巻10号が読者の皆さまのお手元に届く頃には,日本列島はきっと涼しくなっていて,夜明けや日暮れの時刻は,今よりもずっと遅くなっていることと存じます.この夏,夜空に久々の天の川とペルセウス座流星群を見せてくれた奥日光は,ゆっくり訪れる紅葉を楽しむ人々で賑わっているかもしれません.
今月の主題は「白血球」です.白血球は生体を感染症から守る免疫機構の重要な担い手となっていることは皆さんご承知のとおりです.白血球のうち好中球・マクロファージの役割というと細菌を貪食・殺菌する作用が有名ですが,マクロファージは食細胞としての貪食殺菌能を発揮するだけではなく,異物断片の抗原情報をTリンパ球にあたえ,増殖活性化し特異的な免疫応答を誘導します.これにより活性化したT細胞はヘルパーT細胞となり,様々なサイトカインを産生します.サイトカインはB細胞の分化と抗体産生を高めるなど様々な免疫細胞を活性化し,感染防御に重要な役割を果たします.またこれらの特異的白血球の,侵襲を受けた組織への浸潤には,多くのケモカインが関与していることも解明されて参りました.感染症や悪性腫瘍に対する生体防御反応としての炎症・免疫反応の中で,白血球は最も基本的な部分を担っているということができますが,最近になって解明されてきたことや,まだ解明されていないことも沢山あるようです.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.