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あとがき
岩田 敏
pp.1460
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102462
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少子高齢化社会を迎えた現代,感染症の治療と予防は極めて重要な意味をもつようになってきています.特に感染症予防の重要な手段である予防接種(ワクチン)は,先進国においても発展途上国においても,今後ますますその重要性を増していくと考えられます.2009~2010年に大問題となったブタ由来インフルエンザウイルスA(H1N1)による新型インフルエンザのパンデミックの中でも,唯一の予防手段であるワクチン接種は,当初ワクチン自体の数が不足していたこともあって,優先接種の問題なども含め,社会的に大きな注目を集めました.また最近の1~2年間で,インフルエンザ菌b型(Hib)ワクチン,7価肺炎球菌結合型ワクチン(小児用肺炎球菌ワクチン),ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンが新たに国内でも承認・発売され,「ワクチンで防ぐことのできる疾患(vaccine preventable disease;VPD)はワクチンで防ぐべきである」という機運が,ようやく本邦でも盛り上がって参りました.
そこで本増刊号ではワクチンの問題を取り上げ,その歴史的な流れから,ワクチン免疫の理論的背景,開発,ワクチンの開発と臨床応用に必要な臨床検査の知識,開発の実際,接種の実際,国内外のワクチンプログラム,今後開発が考えられているワクチンに至るまで様々な点につき,それぞれの専門家からご意見を述べていただきました.そのうえで,これからの時代におけるワクチン戦略とはどのようなものであるべきなのか,またそのために必要なことは何であるのか,という点について読者の皆さまと一緒に考えていきたいと思います.
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