特集 遺伝子検査―診断とリスクファクター
3.遺伝子診断の実際
4) 内分泌疾患
竹越 一博
1
,
磯部 和正
1
,
川上 康
1
Kazuhiro TAKEKOSHI
1
,
Kazumasa ISOBE
1
,
Yasushi KAWAKAMI
1
1筑波大学大学院人間総合科学研究科(臨床医学系)病態制御医学分子検査医学
キーワード:
SDHB
,
SDHD
,
悪性褐色細胞腫
Keyword:
SDHB
,
SDHD
,
悪性褐色細胞腫
pp.1421-1426
発行日 2007年11月30日
Published Date 2007/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101431
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はじめに
遺伝子診断が“役に立つ”とされる内分泌疾患は多数知られている.しかし,その実情は多発性内分泌腺腫症2型遺伝子診断のように臨床上の意義が確立しているものから,エビデンスに乏しく結果の解釈に困るものまで様々である.本稿では,最近,その重要性で注目されている褐色細胞腫の遺伝子診断を紹介することで内分泌領域の遺伝子診断を考えてみたい.
褐色細胞腫の遺伝子診断は今世紀に入り,その適応で大きく考え方が変わった分野である1,2).その理由は,新しい原因遺伝子SDHBおよびSDHDの発見で遺伝性の頻度が10%よりはるかに上昇したこと,臨床的に散発性でも遺伝性の可能性があること,悪性化と関係する遺伝子(SDHB)が発見されたことに集約されると思う.SDHB・SDHDはTCA回路のコハク酸脱水素酵素サブユニットをコードする遺伝子である.本稿ではSDHB・SDHD変異による遺伝性褐色細胞腫・パラガングリオーマ症候群(hereditary pheochromocytoma/paraganglioma syndrome;HPPS)に重点を置いて紹介する(表1).
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